金曜日の文具(第19回/forme.の夢ミル京都喫茶巡り)
こんにちは。
文具イベントでも人気の「夢ミル京都喫茶巡り」シリーズ各種がOnlieStoreに入荷しました。
店頭にはすでに並べていたのですが、あっというまに欠品が出てしまい、慌てて追加発注。
いまですと全ラインナップがそろっています。
「夢ミル京都喫茶巡り」は、京都に実在する喫茶店の看板メニューや調度品、店内の雰囲気を文房具に落とし込んだシリーズ。
今回モチーフになっている3店は、どれも全国からお客さんが訪れて平日も満席になるほどの超人気店です。
喫茶ソワレ
繁華街・四条の片隅、高瀬川のほど近くにある老舗喫茶店。
昭和23年創業当時の姿をほとんどそのまま残す店内に足を踏み入れれば、青い照明に満たされた幻想的な空間が広がります。
名物は「宝石の様に美しい」とも評される、色鮮やかなゼリーポンチ。
カップやグラスにもあしらわれた東郷青児のモダンな美人画が、店のそこここを艶やかに彩ります。
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スマート珈琲店
寺町通商店街にひっそりとたたずむ老舗喫茶店。
昭和7年の創業以来、京都人に長く愛され、作家、俳優、映画人のファンも多数。
卵そのものの風味が味わえるタマゴサンドや、子どものころに夢見たとおりのホットケーキが有名。
照明がやさしくともり、木やレンガのぬくもりが感じられる店内は、ほっと落ち着く一杯とともにゆったりとしたひと時を堪能できます。
歴代のマッチの展示や、あちこちに置かれた大きなコーヒー缶も特徴的。
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六曜社珈琲店
河原町三条の近く、本格的な自家焙煎珈琲が味わえる、昭和25年創業の老舗喫茶店。
座り心地のよいレトロな革張りのソファーが並び、暖色の明かりに照らされた店内は、古きよき昭和の雰囲気がただよいます。
釉薬だまりが美しい壁面のタイルも店の歴史を忍ばせます。
素朴で優しい甘さのホームメイドドーナツは珈琲との相性抜群。
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商品ラインナップは以下の通りです(価格はすべて税込)。
・ブロックメモ ¥440
・マスキングテープ ¥440
・スクエア付箋 ¥440
・ミニ付箋 ¥440
・レターセット ¥528
・A4クリアファイル ¥275
【夢ミル京都喫茶巡りシリーズ】 商品一覧はこちら
どれもかわいいだけでなく、各店の雰囲気が感じられ、遠方に住んでいるわたしたちにも「実際に行ってみたい!」と思わせてくれるシリーズになっています。
製造元は「forme.」。新興のメーカーさんです。
八文字屋も「山形に行ってみたい」と思ってもらうためにオリジナルグッズを開発していることもあり、「いったいどういう人が作っているんだろう」と気になりました。
そこで、代表の井波千明さんにインタビューしてみました。
Q. 「forme.」について改めて教えてください
「わたしのため(for me)のザッカ、おもいをかたち(forme)にするザッカ」というコンセプトで、文具や雑貨の企画販売をしています(メーカーであり、OEM/ODM商社でもあります)。
自分がワクワクするような、自分で自分のご機嫌を取れるような、自分のために欲しくなるモノづくりを心がけています。
また、「モノ」がその形になるまでには、多くの人の協力や関わりが欠かせません。
企画する人の想い、形になることを望む人の想い、イラストレーターの想い、デザイナーの想い、生産する工場の人の想い、形になったモノを手に取る人の想い、生まれるモノに関わる全ての人たちの想いに寄り添ったモノ(かたち)づくりをしています。
勤めていた会社の雑貨企画事業部が2021年1月に事業撤退することになってしまい、企画・生産していた「夢ミル京都喫茶巡りシリーズ」の発売ができなくなってしまうという危機に瀕しました。
実在する喫茶店さまとのコラボ企画であり、未発売のままお蔵入りになることだけは避けたい!と思い、企画の権利・在庫を引き継いで forme.として続けていくことを決めました。
Q. そもそも、どういったきっかけで生まれた企画だったのでしょうか
新型コロナウィルスが流行し始め最初の緊急事態宣言が出たころ、観光客で賑わっていた京都は、その姿をガラリと変えてしまいました。
観光客の減少した京都を盛り上げたい、京都の古き良きを伝えたい、今の時代で、少しでも多くの人に心豊かになるものをお届けできれば……と考えたときに、京都の文化のかたわらにいつも存在していて、その存在自体が常に最先端の文化とも言えるのが「喫茶店」でした。
この素晴らしい京都の文化を、誰でももっと身近に感じてもらえるように、また状況が落ち着いた時に京都へ行きたいと思ってもらえるように、文具や雑貨という形で多くの人に伝えようと思い、生まれた企画です。
Q. デザイン面で気をつけたことやこだわりはありますか
シリーズのイラストは、イラストレーター「福岡麻利子」さんに描いていただいています。
京都造形芸術大学卒で京都在住の麻利子さんは、今回コラボさせていただいている喫茶店に何度も通うほどの喫茶店好きなのです。
また、そのイラストを生かすデザイナーも京都在住の喫茶店好きであり(なんなら企画の言い出しっぺ。元同僚であり、現在も一緒に仕事をしています)、さらには実際に、各喫茶店のオーナーさまにデザイン監修をしていただいています!
イラストでありながらリアル感を追求したり、喫茶店のもつイメージを色で表現したり、レトロ感を感じれる紙を採用したりしました。
この企画は「商品を手に取ってもらうこと」がゴールではなく、商品を手に取ってもらうことによって「実際の喫茶店に訪れてもらうこと」を望んで喫茶店さまと一緒に作り上げました。
(ブロックメモは、表紙に福岡さんのイラストが大きくデザインされており、シロップのとろりとした質感や、外はサクサク・中はしっとりのドーナツの食感が特に伝わってきます)
Q. 各喫茶店のオーナーさまとは、具体的にどんなやりとりやフィードバックがあったのでしょうか
例えば喫茶ソワレさんだと、グラスのフォルムであったり、キウイのカットの仕方であったり、細かい部分まで見ていただきメニューを忠実にイラスト化しています。
スマート珈琲店さんだと、特に色使いの部分で、喫茶店のイメージに合わない色をなくしたりしました。
また、クリアファイルのデザインは、オーナーさんの希望で昔からスマート珈琲店で使用している包装紙のデザインになっています。ただ、初代から使用されている包装紙なのでデータなどなく、現物の包装紙をもらって、デザイナーが必死にトレースしました(笑)。
六曜社珈琲店さんは、色の明暗部分の調整だったり、ロゴの使い方(縦か横か、ローマ字表記にするか、など)を見ていただきました!
(細部まで完全に再現された喫茶ソワレのゼリーポンチ)
(スマート珈琲店の商品は、お店のイメージの赤を基調に、落ち着いた暖色系のカラーで統一)
(様々なロゴデザインが楽しめる六曜社珈琲店の商品たち)
Q. ほかに、企画・制作過程で印象的なエピソードがありましたらぜひ教えてください!
やっぱり1番は、シリーズの発売直前に雑貨企画部が事業撤退になったことですね(笑)。
でもそこで、シリーズを引き継いで続けて行こうと思えたのは、喫茶店さまの応援があったからです。
各喫茶店のオーナーさん、みなさん本当にいい人で。
こうやって老舗の喫茶店が代々続いていて多くの人に愛されているのは、古くから続くメニューや建物、雰囲気はもちろんですが、1番は「人」だなと感じました。
「語りたいことが多すぎてうまくまとめられるか不安」とのことだったのですが、貴重なお話をわかりやすく、たっぷりと聞かせていただきました! 本当にありがとうございます。
商品のディテールをあらためてよく見直したくなりますね。
(ちょっとレアな側面からのカット。小口印刷のようなデザインが楽しい)
また、商品企画の理念や、モチーフへの愛着、そしてそれをきっかけに別業態の方々とのご縁が広がる喜びなど、共感できる部分もたくさんありました。
おそらく、まだまだお話たりないことがあるのではないかと思います。
見たり使ったりして、気になったモチーフがあったら自分で調べてみるのもおもしろいかもしれません。
(たとえばこれ。最初「何なんだろう?」と思ったり……)
文房具を通じてのカフェ巡りを楽しんでください!
(文・写真 ナガオカ)