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千葉奈奈/CBE-A・代表取締役社長「山形での暮らしは人間らしさを感じます」

万年筆を愛する方に、その出会いと魅力についてお話していただく「Life&Pen」。第18回は、WEB製作などを行なう会社「CBE-A(シーベア)」の代表取締役社長・千葉奈奈さんです。

  

職業:WEB製作会社「CBE-A」代表取締役社長
保有万年筆:2本

 

アウトドアの遊びが身近になった

2016年に東京出身の主人とともに山形にUターンをしてきました。私は「地元には戻らないだろう」と思って東京で暮らしていたのですが、主人は私の実家を訪れる度に「ここは天国だ」と言っていて(笑)。スキーやロードバイクが趣味の彼にとっては、自然遊びが身近にある山形は、楽しくて仕方ない場所だったようなんです。それで起業しようとなったときに「食べ物がおいしいところがいい」という意見になり、山形にUターンすることを決めました。

Uターンに対して、最初こそネガティブな気持ちがありましたが、この6年の間にコロナ禍も経験し、もう一回東京に暮らせと言われたら、正直ちょっと嫌だな、とさえ今は思っています。

庭いじりをしたり、東京にいる頃よりアウトドアに出かける機会も増えました。以前はイベントや展覧会など用意されたものに行くことで楽しみを得ていましたが、山形では自分で楽しみを作り出さないといけません。それに慣れたら、こっちのほうがずっと面白いですね。

主人とロードバイクで、西蔵王に走りに行ったり、酒田まで行ったこともあります。東京ではサイクリングロードを走るばかりだったのに、山形ではそこらじゅうに楽しく走れる場所がある。主人が言っていた「天国」の意味もわかってきた気がします(笑)。圧倒的にストレスも少なく、人間らしく暮らせていると感じています。

デジタル化する前のラフは手書きで

前職はオフィスワークだったのですが、デスクに向かって仕事をする私にとって、PCのデスクトップの画面とネイル、文房具が唯一の癒やしでした。中でも文房具は、気分を上げるために必須なもの。アスクルのカタログを見ているだけで1日潰せるぐらい、文房具を集めていました。仕事帰りに伊東屋、東急ハンズ、ロフトなどの文房具コーナーに立ち寄ることも多かったです。安くて、かわいくて実用性もあるなんて、優秀すぎますよね。

「PILOT/カクノ」に出会ってからは、何かを書くときには万年筆を使うようになりました。発売されてすぐ購入したので、もう10年は使っています。

初めは青であって青ではないインクの色に惹かれました。そこから段々、インクの滲みであったり、文字を書いたときの味に楽しさを感じるように。私、資料や自分が書いた走り書きのメモの字が汚いとショックなんですよ。カクノは、ササッと書いてもかっこよくまとまりますし、価格もお手頃。普段使いのペンとして最強です。

IT関係の仕事をしていると、手書きをすることなんかないと思われるかもしれませんが、私はけっこうアナログ派です。ウェブサイト全体のデザイン案を考えるときには、まず手書きで全体像を書いてみますし、PowerPointで資料を作る前にも、ストーリーラインを手書きで作るんです。それを元にデジタル化していきます。

そのラフを書くときにも万年筆を使っています。消したり書いたりを繰り返す作業というより、一度出た案に対してさらにアイデアを足していく行為なので、鉛筆などを使うよりも万年筆で大胆に書いたほうが考えがまとまる気がしていて。違う万年筆を使って、追加コメントを書いたり、自由に書いています。万年筆を使っていると気持ちを高めて作業できる気がするんですよね。

低価格でIT化を進めるお手伝いを

2017年に夫と共同経営者という形で「CBE-A(シーベア)」を立ち上げました。弊社は「GlobalなIT技術をLocalに」をスローガンに企業のホームページ製作から、ITツールの導入、コンサルティングまで行なう会社です。

私たちが山形に暮らし始めてから、東京の友人が遊びに来てくれる機会が増え、そのときにオススメの飲食店を教える方法として食べログを利用していました。しかし、山形では都会ほどレビュー数が多くないので、おいしいお店でも評価が普通だったりします。「ホームページはないの?」と聞かれても、作っていないところが多いんですね。その状況に「田舎だからね」って思われることが悔しくって。都会では当たり前に発達しているITツールも、まだまだ山形では浸透していないこともあります。そのお手伝いをできるのではないかと考えたんです。

例えば、ホームページ製作を外注するには100万円からと言われています。そこを弊社ではミニマム10万円に設定。自社EC、予約システムなどが込みになったサイトをパッケージ化することで、低価格に抑えて提供しています。その中でやれる範囲は決まってはしまうのですが、やりたいと思ったときに手を出せる額で提供することが大事なのではないかと考えています。

起業のしやすさでいえば、山形は相談できる公的支援は多い印象です。そういう意味では、若い人も飛び込める場所だと思います。ただマーケットは大きくないので、そこをどうしていくかを考えるのが大変。ニッチなものでもターゲットが近くにいれば、注目されますが山形では厳しい部分もあります。その問題をITを使ってクリアしていく方法をお伝えすること、距離がある人にどうやって届けるのかを一緒に考えていくことが、弊社の役目だと思っています。

 

お気に入りの1本:PILOT/カクノ

最初に買った万年筆で、もう10年は使っています。それでも、まだまだ現役。年季が入っている感じが逆に気に入っています。

PROFILE

千葉奈奈

2016年に東京から山形にUターン。WEB製作やコンサルティングなどを行なう「CBE-A」の代表取締役社長。山形県企業振興公社の運営する「ジョージ山形」で、創業支援コーディネーターとして起業相談なども行なっている。

HP:https://www.cbe-a.jp/ 

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