金曜日の文具(第17回/GLASS STADIO しなぷす×八文字屋の空ノムコウ・ガラスペン その2)

八文字屋オリジナル「空ノムコウ・ガラスペン」について、制作したGLASS STADIO しなぷす」並木亮太さんにうかがいました。

 

Q. 製作工程をかんたんに教えてください。

 

空ノムコウのお菓子を見ると、色の層、泡の層、クリアの層の三層になっています。(注:前回参照)

これをガラスで表現しています。

ペン軸を三層構造にするために、中心の色の層から作り始め、その周りの泡の層、表面のクリアの層と順番にガラスを重ねていきます。

その後、大まかに四角柱に整えたのち、平盤という研磨機械で削り四面すべて直面を出します。

機械で削ったままだと、表面がザラザラしているので、バーナーで表面炙り直すとガラスがツルっと溶けて綺麗になります。

持ち手部分はフリーハンドで8角柱に整えたのち、伸ばしてくびれを作ります。

ペン先は10本溝の物を作り用意します。

最後にペン軸、持ち手、ペン先を溶着し完成です。


Q. 軸の色について。どういう素材をどのように処理して生まれたのでしょうか。

 

濃青、青、薄青、紫、黄緑の5色を合わせています。

ガラスをただ混ぜ込むと、マーブル模様の様に色の筋が捻じれて伸びる表情になってしまいます。

しかし、空ノムコウのお菓子を見ると、複数の色づいた寒天が部分的に隣り合っているようだったので、5色のガラスを小石くらいの大きさの粒状にカットし、それを1個づつ捻じりこまないように繋ぎ合わせながら成形していくことで空ノムコウの印象に近づけています。


Q. 素材について。何というガラスでどういう特性があるのでしょうか。

 

ボロシリケイトガラスを使っています。

このガラスは、透明度が高くとても綺麗です。

また、軽量で強度も普段使うコップに用いられているソーダガラスよりもあります。

しかし、融点がソーダガラスより高いため、2000度の炎がでる酸素バーナーを用いて溶かします。


Q. 軸の形状やデザインの面で、気をつけたことやこだわりがあれば教えてください。 

 

空ノムコウのお菓子は四角いですが、ガラスペンとしては角ばっていることで持ちにくいと感じました。

そこで、ペン軸は四角くお菓子の表現をしつつ、持ち手はより角を緩やかにするために八角形にし、デザイン性と機能性を両立させています。


Q. ほかになにか制作についてエピソードがありましたらぜひお願いします。

 

透明感のある綺麗なお菓子を、同じく透明感のあるガラスで表現することはとても面白い試みでした。

まず、空ノムコウというお菓子をより知るために現物をよく観察したり、乃し梅さんのHPを見て職人さんのコメントなどを参考に研究しました。

そこでは、型を使って成形するとありましたが、バーナーワークという技法では工程が異なるので型を使うことはできません。

そのために、表面を研磨機で削るという手法をとったりと試行錯誤を何度も繰り返し、完成することができました。 


ひとつひとつ丁寧にお答えいただき本当にありがとうございます!

作業工程じたいの大変さはもちろん、並木さんが「空ノムコウ」という題材に対していかに真摯に向き合っていただけたのかも、おわかりいただけたかと思います。

 

実は書き味についてもこだわりをお話してもらったのですが、ペン先調整は作家さんの企業秘密ですのでここでは控えさせていただきました。

 

実際に書いてみるとカリカリもツルツルもしすぎず、なめらかな書き心地です。字幅は日本人が一番書きやすい細字から中字のあいだくらい。

また、ガラスペンとしては珍しく丸みがないフォルムなのでペンレストいらずです。置いたら、ころころ転がり落として割ってしまった、という恐れもありません。

 

お値段は15,400円(税込)

9月4日(土)午前10より発売です。

取扱いは八文字屋本店OnlineStore

また、同日同時刻に「久保桜ブルームピンク・ガラスペン」をOnlineStoreにて再販いたします。

若干数になりますが、こちらもよろしくお願いします。


そして本店店頭では、カナダのステーショナリーブランドFerris Wheel Press(フェリスホイールプレス)」のインクの取り扱いを開始しています!

風光明媚なカナダの景観や街並みを上品に表現した、ラメ入りを含む36色。

容量は、85ml(¥5,225)、38ml(¥2,585)、5ml3色セット(¥2,310)の3展開。

ラグジュアリーなパッケージと香水瓶のようなデザインのボトルも魅力で、売り場が一気に華やかさを増しました。

「空ノムコウ・ガラスペン」も「フェリスホイールプレス」も、どちらも試筆できますので、この週末はぜひ八文字屋本店にお越しくださいませ!

 

(文・写真 ナガオカ)